FX取引、ようやく規制が入るようですね。というか、ここまで放置しておいたことが既に大問題です。「レバレッジ」なんて言葉を聞いたこともない主婦らが、カリスマ投資家と呼ばれたり、FXのセミナーに主婦が大挙押し寄せたり、「FXで毎月安定収入」なんていう本がでたり・・・、これらのことがどれだけ異常なことか・・・・。


レバレッジというのはテコのことですが、100倍のレバレッジとは、1万円の自己資金で100万円の取引が出来るということで、100万円あれば1億円の取引ができるということです。当然、予想通りの値動きであれば、簡単に何倍にもなりますが、逆に動けば、損失も一気にすごいことになります。そもそも、短期的な為替の動きなど、確実に当てる方法などあるわけがありません。いろんな投資手法を研究しているプロの投資家でさえ、確実な予想などできないわけで、そこらへんの主婦がちょっとセミナーに出たくらいでわかるはずがないのです。なのに、たまたま儲かっただけのカリスマ主婦を教祖のようにあがめて、セミナーに参加している主婦たちを見ていると、恐ろしくなってきますね。


FX取引は、投資ではなく投機、いや、投機でもなく、完全なギャンブルです。ギャンブルの鉄則として以前も書きましたが、「借金をしてギャンブルをするな」というのがあります。常に、自己資金で行うことが鉄則。借金をして賭けるということは、借金の金利以上のリターンがあって初めてプラスという、最初からマイナスの状態。まず、うまくいきません。


それにギャンブルのもっと恐いところ。それは、あまりにも簡単に儲かってしまうために、また同じように儲けられるという幻想が、完全に負けるまで続くということです。FXで、簡単に数十万円儲けた人は、また、「これなら、簡単に数百万円、儲かるかも」と考え、さらに大きな取引を行います。そして、痛い目にあうまで、やめられないのがギャンブルの恐いところ。早めに、負けた人は、それでやめるので被害は少なくてすみますが、何度か儲かった後に、大きな勝負で負けた人は、大変なことになっているはずです。「悪銭身につかず」ですね。だから、私は、ギャンブルで勝ったお金は、その日に全部使うのです!(笑)


まあ、バブルの頃に、NTT株に主婦が行列した時のように、投資など聞いたこともない人が投資をやり始めるというのは、完全にバブルの兆候ですね。



<FX取引>金融庁、「レバレッジ」倍率規制に乗り出す

6月11日20時24分配信 毎日新聞

 金融庁は、外国為替証拠金取引(FX)について、少ない証拠金で高額の取引ができる「レバレッジ」の倍率規制に乗り出した。今月29日まで一般から意見を募集し、今夏からの施行を目指す。投資家保護を目的とする規制強化だが、賛否が分かれ、保護対象になるはずの投資家から反対の声もあがっている。

 金融庁が規制に踏み切るのは、高いレバレッジ取引を提供する業者が増えているためだ。FX業者は約120社あり、半数以上が100倍以上のレバレッジを提供。600倍の取引を提供する会社もあるという。株の信用取引の証拠金倍率は約3倍、商品先物取引は10~20倍程度に規制されており、FX取引の倍率の高さが際立っている。

 このため、同庁は先月末、約1年間の猶予期間を経てFX取引のレバレッジ上限を1年間は50倍、2年目以降は25倍とする規制案を公表した。100万円の取引をする場合、取引に必要な証拠金は50倍だとわずか2万円だが、25倍だと4万円が必要。レバレッジ倍率が高いと、少額の投資で大きな取引が可能となる半面、予想と逆の相場展開になった場合、わずかな値動きでも証拠金を全額失う。さらに、追加証拠金が必要になるなど損失拡大のリスクも大きい。

 規制案に対し、日本弁護士連合会は、規制を支持する意見書を公表。「高レバレッジ取引は、賭博性が高い。公的な規制整備はやむを得ない」と提言した。一方、投資家の一部からは反対の声があがっている。多額の損失を被るリスクはなくなるが、少額の投資で多額の利益を得るチャンスもなくなるためだ。調査会社の矢野経済研究所が規制案の反応を調べたところ、「自己責任でいい。規制はおかしい」といった声が2000件以上寄せられた。

 金融庁は、「わずかな値動きで証拠金が全額失われるような取引は異常。最低限の秩序が必要だ」(市場課)と話している。【井出晋平】